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■幻覚・幻聴などの解除
幻覚・幻聴などに対処する生活


ここで、一般的にこのようにみている。ということをご紹介しましょう。


● 不安、孤立、過労、不眠を減らす工夫
幻覚・幻聴などが消えていくようにするためには、現在の生活から「不安、孤立、過労、不眠」を減らすことが大切です。当面あせらず無理をせず養生に努めて、この4つのことがらを減らすように工夫してみましょう。しばらくの間は、極力「過労」や「不眠」を避けて、十分寝るように心がけてください。


● 精神科スタッフの役割
精神科医、看護師、心理療法士、作業療法士、保健婦、その他のワーカーなどのスタッフは、話し合いなどを通して「不安」を減らすため、そして「孤立」を避けるための相手と思ってみてください。さらには、幻覚・幻聴が消えていくようにするための専門的な知識・情報の提供者と位置づけてみてください。


● 幻覚・幻聴などに対する薬
精神科医の指示にしたがって、服用してください。
勝手に自分で決め付けないようにしましょう。
また、以下のような様々な副作用がみられる場合があるようです。


・ 眠気を覚える
・ 頭の回転、思考力が鈍る感じがする
・ 立ちくらみがする
・ 目がかすむ
・ のどが渇く
・ 鼻がつまる
・ よだれが出る
・ 便や尿が出にくい
・ ろれつが回りにくい
・ 手足の筋肉が動かしにくくなったり、ふるえたりする
(パーキンソン症状)
・ 自然に首が傾いたり、目が上を向いたり、舌がつき出たりする
(ジストニア)
・ 足がむずむずして、じっとしていられなくなる
(アカシジア、静座不能症)
・ 生理が不順になる
・ 妊娠していないのに母乳が出る
・ 体重が増える
・ 口、舌、あごなどの体の一部が勝手に動いてしまう
(遅発性ジスキネジア)

こうした限界・問題点は、服用するクライアントさんやそのご家族にとって、大いに氣がかりなところでしょう。特に、副作用に関する心配は強いでしょうし、副作用がありながらも服薬を続けるのは本当に忍耐をを要することです。
抗精神病薬の副作用に関して、次のことを覚えておいていただくと良いと思います。
・ 薬の量を変える
・ 薬の種類を変える
・ 副作用止めの薬を一緒に飲む など
必ず、主治医に相談してくださいね。




● 幻覚・幻聴などの受け止め方

幻覚・幻聴が消えていくようにするには、幻覚・幻聴の受け止め方の工夫も大切です。「声」が聞こえても「何か」が視えても、実は実際の声や物ではなく、「不安、孤立、過労、不眠」の4つの条件が重なって生じたノイローゼの状態であることを忘れないといいのです。
「実際の他人の声ではない、実在している物ではない」と理解できていると、「自分のことがまわりに知れ渡り、噂になっている」とか「自分の気持ちが誰かに伝わり、筒抜けになっている」とか「あの人は被害妄想な方だ」というとらえ方が誤解に基づいているとわかります。
たとえば、見知らぬ人たちが自分の噂をしているように聞こえたけれども、実際にはそんなことはなかったとわかる訳です。
また、「声」のルーツは自分の気持ちや考えだから、「声」が「自分のことをよくわかっている」「タイミングよく聞こえる」「どこでも聞こえる」「相手と対話できるように感じられる」のは当たり前なのだと納得でき、「自分の気持ちが誰かに伝わり、筒抜けになっている」という感覚が薄らぎます。
さらには、「黙っていれば、人間の気持ちや情報はむやみに他人には伝わらないものだ」という感覚を取り戻せます。これは、元来私たちにあるいわば当たり前の感覚ですが、「こころの自由と健康」を守るためには、この感覚がとても大切な役割を果たします。この感覚が戻ってくると、人ごみの中で感じる圧迫感や緊張感などの不安が減り、安心とゆとりが生まれます。
「自分のことがまわりに知れ渡っている」とか「自分の気持ちが誰かに伝わり、筒抜けになっている」という感覚が薄らぐと、偶然の出来事がすべて自分と関係あるようにみえることも減り、さらには幻覚・幻聴も消えていく場合が多いのです。
このように「実際の他人の声ではない」「実在していない物」と理解できると、「幻覚・幻聴」と「妄想」と「不安、孤立、過労、不眠」の3つの悪循環を断ち切るきっかけの一つになります。



● 幻覚・幻聴への態度
幻覚・幻聴が消えるようにするために、「声」や「もの」の内容をなるべく気にかけず、相手にしないで無視することも役に立ちます。
氣にかけず相手にしない態度をとれると、幻覚・幻聴を真に受けて生じる不愉快や誤解が減ります。逆に、幻覚・幻聴の内容を一々氣にかけたりむきになって頭の中で相手に反論すると、不愉快や誤解が増える上に、幻覚・幻聴が出現する頻度が増したり内容がエスカレートしがちです。むきになり感情的になると対立が強まるのは、世の常です。
人によっては、「気にかけず相手にしない態度をとった上で、さらにいったん頭の働きを止めて考えるのをやめると、『意地悪だね』と一言言い残して声が止まり楽になる」とのことです。幻覚・幻聴のルーツは自分の気持ちや考えですから、頭の働きを止めて考えるのをやめると声も形も止まる、というのは理にかなっていますね。
また、
・声などを氣にしないようにして、好きな音楽を聴いていると知
らないうちに声が聞こえなくなり、ものが視えなくなる
・ 「声」を氣にしないようにして、「声」が言ってくるのとは
違うようにしていると楽になるという人もいます。
他にも、
・ 頓服薬を飲んで一休みする
・ 一眠りする
・ 布団をかぶって、ベットの中にもぐりこむ
・ 食事をとる
・ 好きな飲み物を飲む
・ タバコを吸う
・ ガムをかむ
・ 散歩する
・ ジョギングする
・ 自転車に乗る
・ スポーツをする(水泳、テニスなど)
・ 家事をする(掃除、洗濯、炊事、食器洗いなど)
・ 庭いじりする
・ 家族や友人と雑談する
・ カラオケで歌う
・ ハミングする
・ 口笛を吹く
・ 好きな音楽を演奏する
・ テレビやラジオをつける
・ 耳栓やヘッドホンを使う
・ 読書する
・ アルバムをみる
・ 日記や家計簿などを書く
・ のどを手で押さえてみる
・ お気に入りの服を着る
・ 気にいっている靴をはく
・ 姿勢をしゃんとする
・ 耳かきで耳の掃除をする
・ 「静かにしてね」とお願いする
・ 初恋の人を思い出す
・ パワースポットに身をまかせる
・ 体温をあげる
などが有効な場合もあります。このように、自分なりのやり方で幻覚・幻聴に対処する方法がみつかると大分楽になるようですから、自分に合った方法をいくつか探してみてくださいね。



● 実際の声かどうか区別する方法

” 幻覚・幻聴を相手にしない ”というと、「実際に他人から話しかけられているのに、それを幻覚・幻聴と取り違えて” 相手にしない ”ことで不都合が起こりはしないだろうか?」という心配があるかもしれません。
とりあえず、幻覚・幻聴が実際のことなのかがわかりにくいときは、
・ 話している人が目で確認できて、その人が面と向かって自分
に語りかけてくる場合か、
・ 自分以外の人(たとえば家族、友人、知人など)にもその声
が聞こえる、視えると明言するとき
だけきちんと相手にする
という方針をとってみてはどうでしょうか? 本当に用事があれば、ほとんどの人は面と向かって話しかけてきますから。



● 「声」の主に悪いと感じたら

また、「氣にかけず、相手にしない」態度をとると、声の主に悪いのではないかと感じるかもしれません。しかしもう一度振り返ってみてください。「声」などのルーツは自分の考えや気持ちです。声の主は幻の存在で実在しないため、決して声の主に悪いなどということはありません。気にかけず相手にしないことは、疲れた自分のこころと頭を休ませて、自分を大切にすることにつながります。



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